私は一度死んだことがある

夫の不倫をきっかけに、いろいろな事をいろいろな角度から考える

独身女が、私の夫を不倫沼に導いた

その独身女は、
いつも優しく接してくれる私の夫に目を付けた。

夫にとっては同僚のひとりでしかなかったが、
その女にとっては、
恋愛対象の相手だった。

その女は、
私の夫と男女の仲になりたいと思った。

ある時その女は、
その男にもっと接近する理由として、
相談ごとを持ち掛けた。
「結婚を迫られている人がいる」と。

しかし夫は、本当に間抜けな人だ。

その女は「他の男性との結婚をどうしようか」
と相談しているにも関わらず、
その女と直ぐに男女の関係を持ってしまったのだ。

その女に結婚を迫っている男性は、
その事実を知ったらどう思うだろうか。

「オレの女を盗んだな!」と、
怒鳴り込まれたらどうするつもりだったのか。

他の男性についての相談をしている中に、
新たな登場人物として、
自分がフラフラと割り込むことに
違和感や不自然な感覚は無かったのか。

はたまた、
その女の結婚話、
それ自体を怪しまなかったのか。

その男性の存在は事実かもしれないが、
言葉のアヤだったり、その時のノリで、
結婚という単語が出ただけだったり、
本気度の低い話だった可能性はないか。

私の夫に接近する口実として、
話を盛っていたのではないか。

何しろその男性は、
還暦を迎えたくらいのお年頃。
30代になったばかりのシングル女に、
本気で結婚を申し込むだろうか。
キミさえよければ…
という程度の軽い話ではないか?

いや、もしかしたら本当に、
その初老男性から、
本気のプロポーズを受けていたのかもしれない。

その強いオシに流されたくなくて…
本当は同世代の、
フットワークの軽いパワフルな男が好みだから…

その女は、
初老男性との結婚と、
妻子ある男との不倫を、
一夜のうちにすり替えてしまった。

初老男性との結婚を断るのと同時に、
既婚男を不倫に引き込むことに成功したのだ。

私はあんなジジイより、
若くて元気な男がいいの!
という具合に。

その女は、
結婚適齢期を、
先の見えない不倫に投じることにした。

その女にとって不倫は初体験ではないから、
不貞に対するハードルは低い。

その女のそれまでの生き方からみると、
ある意味、
初老のシングル男性との結婚を考えるより、
同世代の既婚男性との不貞行為の方が、
平常運転だといえる。

以前の成功体験から、
自分が黙っていれば、
既婚者との付き合いを長く続けられることを、
スキルとしてしっかり身に付けている。

だから、
「私のこと好き?」とか、
「私達、付き合ってるよね?」とかの質問は、
しばらくのあいだ封印した。

その男を追い詰める言動は極力避けた。

本当は、
喉から手が出るくらい
確認したくて仕方なかっただろう。

だけど過去の経験を元に、
先を急ぐような追及はしないように努めた。

そうやって私の夫は、
「これはちょっと遊ぶには都合がいいかも?」と、
その女を受け入れた。

…というか、
まんまとその女の術中にはまり、
見事に不倫沼へ入水したのだ。

追々その女から、
「会社に不倫をバラしてもいいの?」
「変なことになったら自殺するかもよ」
と脅迫されることも知らず。

ダブルバインドで心理操作され、
身も心もボロボロにされることなんて、
全く思いもよらず。