私は一度死んだことがある

夫の不倫をきっかけに、いろいろな事をいろいろな角度から考える

急性ストレス障害になった不倫夫

私の夫は10年近くもの間、
独身女と不倫していた。

2人の関係は終わったが、
妻である私はそのショックからPTSDになり、
程なくうつ病に罹患した。

私はPTSDから回復するため、
トラウマ案件に正面から立ち向かおうとした。

不倫の2人は、
どういう事実を起こしたのか、
どういう関係を紡いでいたのか、
私は知る必要があると思った。

2人の顛末を、
全て聴き、全て受け入れ、
そして自分なりに咀嚼し、
理解すべきだと思った。

そうすることが、
私の精神回復に繋がると思った。

もちろん、
「トラウマを避ける」
という方法もある。

臭いものには蓋をし、
見たくないものは見ない、
という手段もある。

私の人生に関係ないことならば、
その方法もアリだ。

こんな気持ち悪い吐き気がするモノ、
避けられるものなら避けたい。

だけどこれは、
私の人生に深く関わる問題。
私に起こってしまった実話だ。

これを無かったことにはできない。
きちんと正面切って、
立ち向かうしかないと腹を括った。

だから私は、
2人のおぞましき不倫話について、
あれやこれやと夫に尋ねた。

もともと私は、
不倫する人の気持ちは全く判らない人だ。
私の中に、
不倫に走りたくなる気持ちは全然ない。
不倫する人の気持ちの察しがつかない。

だから、
私は夫に沢山質問した。

未知の感情を何とか理解しようと、
こと細かく、
しつこく尋ねた。

起きた事実と、
その時の相手女の様子と、
その時の夫の気持ちを。

そうしたら夫は、
急性ストレス障害になってしまった。

夫のその話題を取り上げると、
険しい表情になり、
下を向き、
ボーッとするようになった。

私は自分の病気を克服したくて、
回復の手順を踏もうとしているのに、
夫がそれに対応できない。

妻に回復してほしいのなら、
能動的に協力すべきだけど、
夫は私から顔を背け、
気を失うようにシャットダウンしてしまう。

「不倫バレした男は、
妻の様子から精神を害することが多い」
そんな話を聞いたことがある。

私の夫の様子を見れば、
その話はよくわかる。
まさにこのことか、と。

話し合いにすらならない。
相手を理解したくても、
手掛かりが得られない。

そんな病んだ夫を見て、
絶縁したくなる被害者妻の気持ち、
本当によく理解できる。

歩み寄る力が無いということは、
永遠に交わることが無い、
ということだ。

同時に、
2人とも精神を病み、
共倒れになる、
ということでもある。

そうならば、
お互い何とか命を保つ手段として、
縁を切るしかない。

そういう判断に至っても仕方がない。