私は一度死んだことがある

夫の不倫をきっかけに、いろいろな事をいろいろな角度から考える

夫の不倫相手女は、悲劇のヒロインに変身してしまった

私の夫の不倫相手女は、
どうも妄想癖があるようだ。

3年程前に終わった不倫時のことを、
自分の都合のいいように美化しているようだ。

うっとりとするような、
まるで恋愛小説の中の名場面に加工して、
自分のことを、
悲劇のヒロインに仕立て上げている。

……………………………
その女は、
男の誠実な愛溢れた女への想いを、
仄かに感じてはいましたが、
素直に受け止めることができませんでした。
そのすれ違いは、
悲しい過去となってしまったのです。
その後、少し大人になった女は、
今だったら、
もっと素直に男の話に耳を傾け、
その男の暖かい気持ちを
受け入れることができるのにと、
未熟だった過去の自分を後悔し、
うっすらと涙を浮かべるのでした。
………………………………

愛溢れる男女の、
美しい物語なのです。

男の愛を感じながらも、
女の方が受け入れることができず、
成就が叶わなかったという、
儚く悲しい物語なのです。

でもそれは、
事実とはやや異なる。

女は、
自分がその男にとって遊びの女で、
セカンドにも満たない女だと、
何となく解っていたはずだ。

だから、
見捨てられないように脅迫していたのだ。

男の優しい言葉は、
上っ面だけで中身が無いことを知っていた。

だから、
男が発する、
その女を肯定するような言葉を、
そのまま受け入れることができなかった。

その女は、
男が嘘をついていることを知っていたから、
その嘘を受け入れるのを躊躇した。

私はそんな罠にかかる程バカじゃないよと、
少し腹立たしく思ったはずだ。

それが…
時間とは恐ろしいものだ。

ズルい男が、
愛のある男に
変貌を遂げたのだ。

その女は、
「男に愛されていたけど、
ワタシに勇気が無かったから」
ということにしたのだ。

「ワタシに、
もっとカレを信じる気持ちがあれば…」
と後悔しているのだ。

弁護士を介して話し合いをしている時は、
その男のことをはっきり憎んでいたその女。
妻側についたその男について、
器の小さいズルいヤツだと思っていたはずだ。

だけどそれから3年程経ち、
その男は、
その女にとって、
本当に愛すべき人に変わっていた。

美しい、
愛の物語の主役に仕立て上げた。

その女は、
現実を直視するのが辛すぎて、
自分の居心地が良い解釈をした。

女盛りを10年近くも費やし、
慰謝料も払わされた。

だからせめて、
相手から純粋に求められ、
愛を掛けてもらっていたと思い込まないと、
生きる気力も出なかったのか。

可哀想な人だ。

ここまでくると、
少し狂気を帯びてくる。

その女に足りないのは、
相手の胸に飛び込む勇気や、
他人を信じる気持ちではない。

自分が直面する事実としっかり向き合い、
自分を信じることだ。

男から甘いマヤカシを掛けられても、
「それは嘘でしょ?
貴方は私を何だと思っているの?
バカにしないで。
私と結婚する気が無いのなら、
すぐに別れましょう」
と言わなくてはならなかった。

事実と向き合わないと、
目の前にある、
越えるべき山を避けることになる。

その山を越えないと、
いつまで経っても前に進めないことに、
早く気付かなければならない。