私は一度死んだことがある

夫の不倫をきっかけに、いろいろな事をいろいろな角度から考える

不倫相手男をゆるしたいけどゆるせない、不倫女

私の夫は独身女と、
10年近くも不倫していた。

私は、
弁護士に仲介してもらい、
不倫カップル今生の別離を誓った公式文書と、
相手女からの慰謝料を得た。

あれから約3年経った今、
その男のことを、
ゆるしたいけど、
ゆるせないのだそうだ。

現状バイアスと脅迫に負けた男が、
しつこく粘着する女と起こした不倫。

心の通い合いは無く、
お互いに消費し合い、
ズタボロになるだけの負の関係。

そんな虚しい不倫の顛末を、
優しく儚い恋物語に書き換え、
自分を悲劇のヒロインに仕立てたその女。

「貴方が本当に愛しているのはワタシでしょ。
だけど、別の人と結婚しているから、
ワタシたちは引き裂かれ、
貴方は仕方なく妻の元に行ったのね。
それは、貴方の本意ではないんでしょ。」

更に、

「ワタシ今は、
貴方をゆるしたいと思っているのよ。
あの時より成長して、
貴方の愛を受け入れる準備ができたよ。
だから、
貴方がきちんとワタシと向き合ってくれて、
ワタシのところに戻りたいというのなら、
全部ゆるすつもりよ」

というのだ。

あくまで、
その男をゆるす時は、
その男が今の家庭を捨て、
その女と結婚する時だ、
という主張なのだ。

ゆるしたいけどゆるせない、
というのは、
その男が戻ってこない限りゆるさない、
ということなのだ。

しかしその男…
すなわち私の夫は、
万一今の家族と別離したとしても、
その女との復縁する気は全くない。

夫にとってその女は厄介者で、
二度と関わりたくない人物だ。

だから、
その女の願いはおそらく一生叶わない。

そもそもその女は、
「自分が未熟だったから、
その男からの愛を受け流してしまった」
と言っているのだから、
そうだとすれば、
そのすれ違いはその女の過失だ。

それなのに、
その男に「ゆるせない」というのは、
その過失を転嫁しているとしか思えない。

過去のあの大事な場面で、
相手ときちんと向き合わず、
その男の言動をそでにしたから、
すれ違ってしまったのだ。

だから、
その男が
「オレの愛を無視したあの女をゆるせない」
というのならまだ解る。

その女の方から
「ゆるせない」
という発信があること自体が間違いだ。

だけどそもそも、
その男…私の夫は、
その女に対して
愛を持っていなかったから、
愛を伝えようとしたことも無いはずだ。

おそらく、
ちょっとした、
肯定したような言動を愛のメッセージだと、
その女は勘違いしたのだろう。

恋人同士でなくても
ただの会社の同僚同士でもあるレベルの、
何気ない、
相手を褒めるような言動。

そんな些細な言動を、
妻子ある男から発せられた、
責任感がある
重大な言動として捉えたその女。

認知の歪みというエラーを、
何度も重ねた。

不倫の終焉から、
リセットしてやり直せばいいのに、
その続きを懲りもなくやっているその女。

夫はもう既に、
不倫についての謝罪はしたはずだ。

だけど「ゆるせない」というなら、
無理にゆるす努力をする必要はない。
ゆるすという
高尚な体験をする必要はない。

むしろ、
その女がゆるす経験をして、
何かを乗り越えて
成熟した気分になってほしくない。

私からみてその女は、
残忍な事件を起こした加害者が、
「ワタシは悪くない!
悪いのはあいつらだ!!
このままじゃ絶対にゆるさない!!!」
狂言的にわめき散らしているのと
同じ類いの人間としか思えない。

他人をゆるす経験をする何千歩も前に、
自分の過ちに向き合い、
「ワタシは悪かった」
と腹落ちさせなければならない。