私は一度死んだことがある

夫の不倫をきっかけに、いろいろな事をいろいろな角度から考える

不倫慰謝料の折半を、男に言い出せない女

夫が長年不倫をしていたので、
先ず、相手女へ慰謝料を要求した。

相手女への内容証明に書いた金額は300万円。
弁護士のアドバイスによるものだ。

300万円は不倫したふたりの肩に掛かるので、
内訳を話し合って決めるそうだ。

大抵は半々であることが多いそうだが、
事情によって配分が変わることもあるようだ。

今回については妻という立場から見て、
半々であるべきだと考えた。

不倫をしかけたのは女、
それに乗ったのは私の夫、
しつこく連絡をしたのは女、
それに応えて会う計画を立てたのは私の夫。

私には、
バランスを保ちながら、
不倫を少しでも長く続ける努力を
お互いにしていたように見えたからだ。

その時は、それが本当だと思っていた。

しかし事実は違った。
相手女は、私の夫を脅迫していた。

だけどその頃、
私達夫婦はそこに気付いておらず、
知っているのは女だけだったのだ。

普通の不倫なら、
相手女に慰謝料請求の手紙が来た時点で、
「貴方も半分払うべき」
と男に話を自分から持ち掛けるはずだ。

勉強熱心な相手女は、
全額自分が背負う必要がないことは、
すぐに調べただろうから、
支払い配分の事を考えたはずだ。

だけど相手女は脅迫の覚えがあるから、
自分から言い出せなかった。

私の夫が、
どれだけの配分を受け持ってくれるかわからず、
駆け引きをするしかなかったのだ。

しかしそんな女の胸中を知るよしもない夫は、
「オレが半分出すから、貴女も決断して」
と折半の打診をした。

それを聞いて相手女は
「あー!それ言ったな!!」
と直ぐに釘を刺すように切り返してきた。

女から切り出しにくい提案を
相手からしてくれた、ということだ。

夫の不倫相手女は、
この不倫がなぜこんなに長期化したのか、
しっかり把握していた。

それは、自分自身が立てたものだったから。

ダブルバインドを用いて脅迫するのが、
男を繋ぎ止める有効な手段だと計画し、
実際に運用した知能犯だ。

そこへ、
女の罪を過小評価した私の夫が、
「この金額でいいよ」と手を差し伸べた。

その言葉を待っていましたと言わんばかりだ。