私は一度死んだことがある

夫の不倫をきっかけに、いろいろな事をいろいろな角度から考える

慰謝料の一部を親に出して貰った、不倫相手女

私の夫の不倫相手女は、
交渉開始から約半年後、
やっと不倫慰謝料を払った。

不倫相手女はできるだけ金額を抑えたかったが、
私の弁護士は、
「こんな金額じゃ話になりません」
と突っ張ってくれて、
何とかまとまった金額に着地した。

本当はその3倍くらいないと、
腹の虫が治まらないと苦々しく思った。

だけど現実問題として、
相手女が支払い可能な金額にする必要がある。

一括で用意できなければ
分割してでも払ってよ!
とも思うのだけど、
それもなかなか難しいようなのだ。

支払いの途中で雲隠れしたら、
また面倒なことになるし。

40過ぎのいい大人なんだから
それくらい払えるでしょ!?
ということでその金額で手を打った。

その女が提出した通帳コピーからみると、
少し難しい金額ではあるけど、
他に隠し金があるだろうから何とかなる
と思っていた。

だけどその女は、
本当に提出コピーで示されたお金しか
持っていなかったようなのだ。

そして、
自力で全額を用意できないということで、
一部母親に借りることになったのだ。

かつてその母親は、
「普通は、妻が慰謝料要求するのを
相手の男が止めさせるものだ」
という持論を吐いた人物だ。

私はそれを聞いて、
なんて自分勝手なんだろうか!というのと、
どうしてそんな知識を持っているのか?と、
2つの驚きがあった。

普通は男が止めさせる、
なんて知識…

その母親は不倫の知識がある
ということなのだろうか。
その母親にとって、
不倫は身近なことなのだろうか。

何はともあれその母親も、
ようやく観念したらしい。
娘の為にお金を用意することになったのだ。

その女の母親は、
どんな気持ちだったのだろう。

私が母親なら、
「うちの娘は40過ぎなのに結婚をせず、
それどころか不倫して慰謝料要求されている。
そして慰謝料の支払いも満足に出来ない。
このお金は、
そんなものに使う為に貯めたのではないのに。
娘の結婚の時に使えることができれば
どんなによかったか」と、
とても恨めしく思う。

そう想像すると
ちょっと申し訳ない気持ちになる。

何故ならその女の母親が差し出したお金は、
即座に散財する予定だったから。

その母親の娘がかつて経験したことがない、
贅沢な使い方をする予定だったから。

同時に、
自分が育てた娘が長年不倫をして、
他人に迷惑を掛けてしまったことを、
しっかりと受け止めて欲しいとも思う。

…でも、
当の本人は反省した様子が無いから、
その母親も内省していない可能性は高いだろう。
残念ながら。

とにかく、
この不倫親子は、
慰謝料支払いというイベントを経て、
絆を深めることが出来た。

不倫相手の妻を敵に仕立て上げ、
ふたりで力を合わせて立ち向かったのだ。

これからも、
ふたりで助け合って生き抜いていこう!と
志を確かめたに違いない。

独りで寂しい。
どうせ独りぼっち。
私は可哀想な根なし草。

そう私の夫に愚痴っていたその女は、
母親という本当の味方がいることが確認できた。

自分が粗相をした時に、
尻拭いしてくれる人がいるという心強さ。

そう考えると、
その女はこの激動の中、
本当の宝物を見つけたことになる。

その女はそれまで、
愛されたい気持ちが強すぎて、
色々な問題を起こしてきた。

だけど、
自分を愛してくれている人がいる、
ということに気付くことができたから、
それも少しは治まるかもしれない。

その女はこのゴタゴタのお陰で、
愛着障害を克服したかもしれない。

辛くない生き方を
見つけることができたかもしれない。

私は、
その女に苦しんでもらうために
慰謝料請求をしたのに、
結果としてその女は、
幸せな気持ちになってしまったようだ。

とても癪だし、納得できない。