うつ病の不思議な感覚

まさか、私がうつ病になるとは。

驚きと同時に、
こういうものか、こういう感覚なのか…と
体感することが新鮮に思えた。

私は初めて精神的な病気になった。

お酒で取り乱したり記憶を失ったりしたことも、
薬物トリップ経験も無い。

だから、
自分で自分をコントロールできない、
自分の意思以外のものに
無理やり犯されている感覚が、
不思議でたまらなかった。

人間には、
自分の意思ではどうにもならないこともあるんだ。

今まで、
自分の方向性を自分で決め、
実現できるように努力し、
ある程度達成してきた。

そういう過去が懐かしい。

私は今、とても弱々しくなってしまった。
自分のことが自分でできないから、
誰かに助けてもらいたい。

だけど、今、私が頼れるのは、
私を精神的な病気にさせた張本人である
夫…しかいないという現実。

矛盾しているから、
私の混乱はなかなか治まらない。

夫は、
不倫相手の女と縁を切った、
あなたと結婚生活を続けたいと言ってくれた。

今の私は、
彼の決意は嘘ではないという言葉を受け入れて、
心が壊れた私を助けてもらうしか、
私が生き延びる方法はないと思った。

とりあえず生きる、
という方法。

私は夫に
「私を助けて！」
と何度もしがみついて泣いた。

私を陥れた憎い相手なのに…