消えて無くなりたい

夫の不倫を無かったことにしたくて、
私が辿り着いた思いは
「消えて無くなりたい」

一般的に、
自殺者の多くはうつ病であることが多いそうだ。

うつ病で、
ドーンと気持ちが落ちてしまった後、
うつ病治療薬の服用や
周りのサポートで少し元気を取り戻し、
自発的な行動がとれるようになった頃に、
自殺に走る危険があるらしい。

自殺をするのも、
パワーが必要だということだ。

でも、私はそこまでの
パワーと覚悟が無かった。

自ら命を絶つという自発的な行為はできないけど、
この世に存在したくないから、
泡のように消えてなくなりたいと願った。

でも、現実として、
私の体はこのままでは無くならない。

失踪はどうだろうか。

私のことを知らない、
縁もゆかりもない土地に行って、
他の男性と暮らすのはどうだろうか…

派手で賑やかな人でない方がいいかな。
おとなしい穏やかな人と、
ゆっくり時間が過ぎるような生活をするのは
どうかな。

もう子供はいらないかな。

自分のことだけを考えて、
視野を狭くして生きていこうかな。

とりあえず、
スマホだけは解約せずに持っていかせて。
自分で支払いできないから。
でも、スマホから私の居場所を探知しないでね。

夫にもそういう気持ちを伝えた。

私、もういらない人だよね。
ヘナヘナで、役に立たないし。
現実を受け入れられないから、
ここで生きていくのはとても辛いの。
私はあなたにとって必要ない人だから、
不倫したんでしょ。

そう伝えると夫は
「おまえがいなくなったら……」
うなだれて最後の言葉を濁した。

いなくなったら悲しいよ、
という方向の気持ちなのはわかったけど、
最後までちゃんと言って欲しかった。

大好きな夫が不倫していたという
ショックが大きすぎて、
弱い表現では、私の胸に刺さらない。