私は一度死んだことがある

夫の不倫をきっかけに、いろいろな事をいろいろな角度から考える

本を読まないと、成長に限界があると思う

私の夫は、本を読まない。

0冊、とは言わないが、
読んだとしても、
その時流行っているノウハウ本くらいだ。

小手先であーしろ、こーしろ、
というだけの本だ。

仕事やプライベートで
良い出会いがあることもあり、
そこから
学んだり感銘を受けたりすることもあるが、
それだけでは十分でない。

人として、
しっかりとした自分の核を作るためには、
まず本を読んで知識を得たり、
見解を広げる事が大切だと思う。

夫は年の割に達観したところがあるが、
同時に未熟な感性も持っていて、
少しアンバランスな人だ。

それが魅力的な面ではあるが、
共に人生を歩む人としては、
もう少し成熟してほしいと思うところもあった。

だから私は夫と結婚した頃から、
夫に読書を薦めていた。

彼が読書で成長できると、
なかなかいないくらいの、
素敵な人間になれると思った。

読みやすいものからスタートし、
ノウハウ本ばかり読んでいる頃は、
これからは、もっと奥のある本を読んだら?
とそれとなく伝えていた。

しかし夫は、
私が思うようなレベルの本を読もうとしなかった。

オレは沢山の人と関わり、
社会勉強をしてきた。
しかも、自分なりの哲学もある。
だから、わざわざ読書する必要はない。

そう思っていたのだろう。

だけどこの不倫事件をきっかけに、
夫がどんなに未熟で幼稚で、
全体を俯瞰して考えることができない人か、
オレ哲学はとてもショボいものだった、
ということが明らかになった。

私は本当に驚いた。
ここまで
アダルトチルドレンをこじらせていたとは。
こんなに成長乏しい人だったとは。

夫は読書を避け、
知識の習得を避けていたので、
仕事の壁にぶち当たった時、
より良い対処法方が分からなかった。
世の中の仕組みやルールが分からなかった。

人は、
ピンチの時に真価が問われるとは、
まさにこのことだ。

うわべだけのテクニックでは、
限界があるということだ。

どうすれば良いか分からなくて
ストレスが溜まるから、
明け方まで飲み歩いたり、
女性を道具にしたりして、
発散させようとした。

すると更に心身共に疲弊し、
ストレスの上書き更新…という、
負のスパイラルだ。

読書は、
その人の知識を増やすだけでなく、
体験していないことも、
擬似的ではあるが経験することができる。

そして、
普通の生活では出会えないことに、
本のなかで直面し、
人間の機微を感じたり、
感情を揺さぶられたりして、
心の動きが豊かになる。

そして色々なものに愛情を感じるようになり、
自分の生き方について、
地球の中の一員という立場で考える、
ということにも繋がると思う。

人間の成長には、
上を目指して目標を上げる、
というものがある。
無知な夫はこれだけを考えていた。

私は、
人間の成長には、
下へ下へと向かうものがあると思う。

マイナス成長という意味ではなく、
掘り下げて
根っこをしっかり見つめていくことが、
人の本当の意味での成長に繋がると考える。

地中に埋まっている
見えない部分に栄養を与える。
その役割を本が果たしていると思う。

本を読まなかった夫は、
根っこが細く干からびそうになっても、
無理やりつるを伸ばそうとして、
「水をくれー!日光をくれー!」と叫んでいる
不健康な植物のようだ。

そんな夫も最近、
ようやく読書の必要性を感じてきたらしい。

「私、ずいぶん前から読書薦めてたよね?」
と聞くと、
小さく頷いていた。

少しだけ成長に向かっているのかも思うと、
私のPTSDも、
少しだけ改善されたかもしれないと思った。