私は一度死んだことがある

夫の不倫をきっかけに、いろいろな事をいろいろな角度から考える

沢山本を読んでも、成長するとは限らない

私の夫は、本を読まない人だった。

知識も見解も乏しい夫は、
自分勝手な哲学で生きてきて、
不倫という過ちを犯してしまった。

夫とは反対に、
夫の不倫相手女はとても読書をする人だ。

だけど女は、
自分勝手な論理で、
自ら不倫を仕掛け、
私の夫をマインドコントロールの配下に置いた。

夫は無知からくる不貞だったが、
女はいびつな知識からくる不貞だった。

一般的に読書をすると、
色々な世界観を感じることができるので、
リベラルになる可能性が高い。

しかし女は、
色々な世界観を
自分の住んでいる世界と異なる所だ、
という認識しか持てなかった。

自分の中にある、
ポッカリ開いた穴を埋めるべく、
色々な本を読んでみるけど、
他人事のようにしか認識できなかった。

女には、
本から得た知識や見解はあっても、
それを自分自身に引き寄せて、
現実的に受け止めることができなかった。

だから、
愛着障害の本を読んでも、
パーソナリティー障害の本を読んでも、
他人の夫を取る小説を読んでも、
自分の事として心に響かない。

他人の事を分析して、他人を非難する為、
他人の事を蔑む根拠を探すために、
むさぼるように本を読んだのだろう。

女は、自分自身に暗示を掛けていた。

「私は頭がいい。
私は仕事ができる。
私はみんなの役に立っている。
私はあの人に愛されている。
私はみんなに感謝されるべき人だ」

そう思い込んでいる女の脳には、
変形した知識しか入らない。
自分の都合の良いようにしか理解できない。

しかも、
知識を身に付けたと勘違いした女は、
他人をバカだと思ったのだろう。

私の夫のこと、その夫の奥さん…
私達夫婦のことも。

本から得た知識で、
私の夫をマインドコントロールした。

マインドコントロールされる夫を持ち、
長年の不貞に気付かなかった私は、
不倫相手女から見ると、
バカ以外の何者でもなかっただろう。

本来なら、
リベラルな考え方を育むべき読書は、
期待とは反対方向に進む役目を果たした。

不倫相手女にとって本は、
自分の身勝手な理論の手助けをする、
大切な拠り所だった。

世知辛い世の中で生きるための、
武装アイテムのひとつだった。

でも、
女にとって本当に必要なものは、
そんないびつな考え方を溶かす、
他人からの温かい心だ。

「あなたはここにいるよ。
あなたは、あなた自身を大切にしなさい」
そう語りかけることができる人が必要なのだ。

悲しいことに、
女の周りには、女の実母を含め、
そんな良心的な人はいないようだ。

だからこの不倫についても、
「私は悪くない。ただ失敗しただけ。
奥さんへの慰謝料は口封じ代よ」
という認識でしかないのだ。