私は一度死んだことがある

夫の不倫をきっかけに、いろいろな事をいろいろな角度から考える

私の夫とその不倫相手女は、不似合いカップル

私の夫と、
その不倫相手女は、
とても不似合いなカップルだと私は思う。

ここで言っているのは、
心の深い部分のことは一先ず置いといて、
あくまで表面的な見た目や、
醸し出す雰囲気のことだ。

仲が良い、
という間柄の人同士は、
たとえ違うタイプ同士であったとしても、
何となく雰囲気が近かったり、
凸凹が上手く組まれ合い、
バランスが取れていたりするものだ。

そういうふたりは、
とても温かい空気を纏っている。

見ているこちらが安心するような、
ホッコリするような、
柔らかい気持ちになる。

だから、
表面的な所だけしか見なくても、
何となく「合う、合わない」は判る。

それは、
恋人同士だけでなく、
友達同士や、家族や、
仕事上のパートナー等にもいえると思う。

「このペアは、何となく違和感があるなあ」
と感じるふたりは、
実は仲違いしていたり、
後に決裂したりすることが多い。

その「違和感」を、
私はこのふたりに対して、
とても強く感じたのだ。

実は、
この長年の不倫が始まって2年目の時、
相手女から夫に宛てたメールを、
たまたま目にしたことがあった。

そこで事の顛末を夫に聞いたら、
「気軽にそんなメールを送る同僚なんだ。
深い意味は無いから大丈夫」
という回答だった。

念のためSNSで相手女を検索したところ、
夫と不似合いな雰囲気の人だった。

メールの内容も季節のあいさつだから
意味深いものではなかったので、
「向こうが勝手に夫を慕っているだけかな」
その時の私はそう判断したのだ。

その判断はある意味、
間違っていなかった。
その女の片思いは事実だったから。

だけど、
そのまま私がその件をスルーし、
結果として不倫が長引いたので、
間違っていたともいえる。

普通の恋愛だったら、
ふたりの仲はすぐに壊れていただろう。

私の夫は人気者の追われる身で、
相手女は必死に追い掛ける側だ。

私の夫はその女が居なくても、
不自由無く暮らすことができたはずだ。

だけどその女は、
相手してくれる人がその男しかいないから、
手放す訳にいかず、
激しく執着していたのだ。

そこでその女は苦し紛れに、
その男を脅迫して繋ぎ止め、
離れていかないように見張り続けた。

私はかつて、
友人、恋人、夫婦等の人間関係は、
お互いの自由意思の上に成り立つと考えていた。

ふたりがふたりとも、
一緒に居たいと思えば関係成立で、
どちらか一方が離れたいと思えば、
関係不成立だと考えていた。

だから、
私の夫がその不倫相手女に、
脅迫というチカラワザでねじ伏せられて、
10年近くもの間、
関係を成立させていたことに驚いた。

この構図は、
パワハラとも言えるし、
モラハラとも言えるし、
いじめとも言えるし、
ストーカーとも言える。

でも一番驚いたのは、
私の夫が、
ふたりの関係をコントロールしていると
勘違いしていたことだ。

私の夫は、
この不倫の不自然さに目を背け、
自分の意思でやっていると思い込んでいたのだ。

自分の思いより
会社の利益が尊重されるビジネスの考え方を、
自分のプライベートまで持ち込んでしまったのだ。

更に、
「オレはこんなめんどくさいことにも、
うまく対応できるイケてるビジネスマン!」だと
哀れな勘違いをしていたのだ。

私の夫は、
ビジネスの考え方に浸かり過ぎて、
自分の気持ちを無視することに慣れてしまった、
悲しい人間だった。

夫が不倫を仕掛けられたあの時に、
言いたいことは山ほどあるけども、
とりあえずはこれを、
夫に強く伝えたかった。

「その女は、貴方とお似合いと思う?
違和感は無いの?」