私は一度死んだことがある

夫の不倫をきっかけに、いろいろな事をいろいろな角度から考える

不倫後の誓約書を、不倫相手女と交わした

弁護士を介して、
私は不倫相手女から慰謝料を受け取った。

弁護士はそれと平行して、
不倫のゴタゴタの顛末を終了させる
誓約書を作成してくれた。

………
私の夫とその女は、
きっぱりと縁を切り、
会ったり連絡を取ったりしないこと。

この不倫案件について、
口外しないこと。

以上の約束を破ると、
直ちに法的措置を行うということ。
………

要約すれば、こういうことだ。

この誓約は必ず結ぶべき、
ということはわかる。
けじめとして必要だ。

だけどこの誓約を交わしても、
私が得することはあまりない、
とも思える。

私は、
夫と離婚してもいいと思っているし、
むしろ夫の会社に不倫の事実を知って欲しい、
不倫相手女のクライアントに知らせたい、
くらいに思っていたからだ。

その男は外ではエラそうにしてるけど、
こんなしょうもない女とずっと不倫してたよ!

その女は自分のクライアントに、
「私の人間性やスキルは凄いのよ」
と人生の指導者のように振る舞っているけど、
10年近くも妻子ある男と不倫していたよ!

ということを、
喧伝したくてたまらなかったから。

一方夫は、
法に守られる形で女と別れることができ、
その上、
会社にバラされる心配も無用となった。

不倫相手女は、
ようやく正職員採用が決まり、
職を守ることができた。
客相手の人気商売だから、
ネガティブな噂は仕事に差し支えるのだ。

要するにこの誓約書は、
不倫をした2人の後始末には
必要不可欠なものだった。

しかし、
不倫された妻の心を治めるもの
ではない。

私にとってこの誓約書は、
今後如何なることがあっても口外しない、
という箇所しか得を感じない。

この不倫について、
私が一番恐れているのは、
子供に知られてしまうことだ。

私は、
子供は何も知らないまま、
大人になって欲しい。

実の父親が、
子供と母親を放ったらかしにして、
よその女に関わっていたことを、
知られたくなかった。

不倫相手女が、
私達の家族が壊れることを願っていた、
ということを知られたくなかった。

この多感な時期に、
そんな事実を知ってしまったら、
害になるだけだ。

子供の精神にダメージを与えたり、
成長の妨げになったりすることは、
絶対に阻止すべきだ。

子供には、
父親と母親に愛されている、
という満たされた気持ちで育って欲しい。

父親から愛されてないかもしれない、
という疑惑や不信感は、
絶対に持たれたくない。

私はそう切望した。

だからこの誓約書は、
子供の健やかな成長の為の「お守り」だ、
と捉えることにした。