私は一度死んだことがある

夫の不倫をきっかけに、いろいろな事をいろいろな角度から考える

成熟を装った、未熟な大人

私の夫は10年近く不倫していた。

夫の不倫事件の全貌がわかると共に、
夫が未成熟な大人だということが明るみになった。

夫は周りの人より、
達観しているようなところがあった。
冷静に客観的に見るところも。

私はそういうところを
とても尊敬していた。

他人から褒められても有頂天にならず、
厳しい仕事にも果敢に向かっていた。

私の悩みにも、
良い打開策を提案してくれていた。

だけどそれは、
夫の良い一面にしか過ぎなかったのだ。

私は夫の不倫事件が明らかになるまで、
夫の強い面しか見ることができなかった。

なぜなら夫は、
私に弱い面を見せたくなくて、
強い人を演じていたのだ。

それは、夫が意識的にしていたのではなく、
無意識にしていたようだ。

本当は弱いのにその弱さは隠して、
強い人のように振る舞うのが正しい生き方だ…
そうするしかなかった夫。

わからないとき、
辛いとき、
嫌だと思ったとき、
誰かに相談すればよかったのに。

どうしてもダメだと感じた時には、
その場から逃げてしまえばよかったのに。

夫は、そういう術を知らなかった。
相談したり逃げたりするのは、
恥だと思っていた。

だから自分で解決すべく、
お酒に依存し、
女遊びをし、
神経を麻痺させ、
自分のネガティブな思いを忘れようとした。

しかしそれこそ、
本当の意味での「逃げている」ということ。

「酒でも飲まないとやってられませんわ〜」
大人の遊び言葉を本気でやっていた、
幼稚な人でしかなかった。

こんな未熟で幼稚な人を、
一人前の男として扱い、
本人の意思に任せていた私。

10年前に気付いていれば…
と悔やむことがある。

だけどそんなことは絶対に有り得ない。

夫は、
成熟した大人の男性を完璧に演じていた。

そして周りの誰もが、
そういう風に思っていた。
皆、私の夫に騙されていた。