私は一度死んだことがある

夫の不倫をきっかけに、いろいろな事をいろいろな角度から考える

「妊娠したかも」と夫を脅した不倫相手女

私の夫と不倫相手女の関係が始まった頃、
その女は、
「妊娠したかも」
と夫に言った。

月経が予定どおりに来ないという事実を、
当事者である私の夫に、
「何てことやってくれたの!」
という抗議として伝えた。

私の夫はとても驚いたが、
同時に「まさか、ね」
という気持ちもあった。

もし子供ができたら大変だ、
という心配と、
そんなに簡単にできるものかね、
という懐疑があった。

結局それは、
月経が来たということで、
その疑惑は解決した。

結果としては、
ああ、何ともなくて良かった、
といえる。

だけど私はその話を聞いて、
何ともいえない不自然さを感じた。

その不倫相手女は、
なぜに、
夫に伝える前に先ず、
妊娠検査薬で確認しなかったのか。

だいたい、
月経なんて、
きっちりパーフェクトに予定どおり、
とはならないことが多い。

その時の体調の良し悪しで、
ちょっと遅れることなんてよくあるものだ。

そして、
絶対に妊娠したくないのならば、
なぜ「避妊対策をしよう」と
提案しなかったのか。

そもそも、
避妊対策をしても完璧に防げる訳でもないのに、
それさえもスルーしたのは、
どういうことなのか。

そこだけ切り取ると、
その女は
妊娠したがっているように見えてしまう。

しかし、
妊娠する為には、
卵子の状況にタイミングが合う必要がある。

それは、1クールに数日しかないのだけど、
そのタイミングに
見事に当たっていたというのだろうか。

いつもは対策をしていたが、
たまたま未対策の時に、
そういう偶然が重なったというのか。

そして、
30代半ばにもなると、
自然妊娠の確率は急激に下がる。

たった1回でビンゴだとしたら、
その女の生殖力は並みでなく、
とても秀でているといえるのではないか。

そしてその女は、
医療分野の専門家。

上で書いたあれこれは、
もちろん知っているはずだし、
もし他人がそういう無知で騒いでいたら、
「アナタそんなの常識よ!」
とバカにする代表のような人だ。

だから、
その女が「妊娠したかも」とほのめかしたのは、
自分が無知な女である、
という設定を引き受けたということだ。

普段その女は、
無知をとても嫌がり、
賢い人だと思われたい性分なのに。

そこまでしても、
私の夫に脅しをかけたかったということだ。

ワタシ、かわいそうでしょ。
受け身の弱い人なのよ。
そんなワタシをセカンド扱いにして…
もっと大切にして、
もっと愛して!

…ということなのだろう。

でも、
そもそも妊娠なんてしていないその女。

自分が妊娠していないことは、
ちゃんと最初から分かっている。

嘘をついて試しただけだから。

不倫という悲しい関係が悔しくて、
脅しただけだから。

「オレ達の子供ができたんだ。
じゃ、今の嫁とは別れるから結婚してくれ」
と言われるのを期待した。

そんなこと言ってくれるはずない、
と思いながらも、
少しだけ望みを持っていた。

だけど結局、
その女の欲しい言葉は貰えなかった。

だから、
その女は落胆しつつ、
妊娠していないことを伝えた。

私の夫は
そうだろ、そんな簡単じゃないはず、
という楽観的思考で、
その話に幕を下ろそうとした。

そういうお気楽な態度をみて、
その女はもちろん
激しい怒りがこみ上げてきただろう。

だけど何より、
恋人を失うことを避けたかったその女は、
その怒りを懸命に抑え、
何ともないような素振りに徹した。

私の夫は、
この一部始終について、
どうしてオカシイと感じなかったのか。

私は、
その女の小賢しい芝居は腹が立つ。
とても卑怯なやり方だ。

しかし、
そんな女の辻褄が合わない言動に、
何も違和感を持たなかった私の夫には、
もっと腹が立つ。